3月27日(日)開催
平成23年度水産環境保全委員会シンポジウム
「リサイクル材による海域環境修復の最前線」
我が国の水産物自給率は60%程度であり,遠洋漁業を除くと養殖も含めて過半が沿岸域で水揚げされている.閉鎖性海域の汚濁対策として流入負荷の削減が長年にわたって行われ,水質はかなり改善されたものの,底質の劣化が著しいため貧酸素や硫化水素の発生などにより,ほぼ無生物状態の場所がある.一方で,流入負荷制御の難しさから.一部では貧栄養化による漁業生産へのダメージも報告されている.このように,沿岸域漁業の不振は漁場の劣化によるところが大きい.閉鎖性海域は構造的に海水交換が悪い場所であり,海水交換を人為的にコントロールすることが困難である以上,内部の水質・底質の改善には別の技術の適用も必要である.
近年,一部の産業系リサイクル材が水質あるいは底質の改善に使える可能性が示唆され,学術的成果が急増している.水産環境分野としては,劣化した沿岸海域の水質・底質を改善し,生物生息域を積極的に拡げてゆくことで,漁業の成り立つ海を創る研究を進めることが使命であり,この点,環境修復にリサイクル材の利用が可能かどうか,科学的な検討を積極的に進める必要がある.
このシンポジウムでは,主に理工学分野で進められつつあるリサイクル材を用いた環境修復技術の最新情報を学ぶことで,沿岸海域の環境修復について分野を超えた学術的な議論を行うことを主旨とする.
●開催日時:2011年3月27日(日)10:00〜17:20
●開催場所:
東京海洋大学品川キャンパス(日本水産学会大会第3会場)
(アクセス)
(東京都港区港南4-5-7)
●参 加 費:無料
●申し込み:当日直接お越し下さい
●主 催:水産環境保全委員会(紹介HP)
●後 援:広島大学流域圏環境再生プロジェクト研究センター(HP)
●プログラム
10:00〜10:05 開会の挨拶
河野 博(水産環境保全委員会委員長)
座長 内藤佳奈子(県広大生命環境)
10:05〜10:20 1.沿岸海域の水産環境問題とリサイクル材利用概論
山本民次(広大院生物圏科)
10:20〜10:50 2.製鋼スラグの物理・化学的特性
三木貴博(東北大院工)・日野光兀(北海道職業能力開発大学校)
10:50〜11:20 3.鉄鋼スラグによる藻類増殖と有機泥改善によるビオトープ形成
山本民次(広大院生物圏科)・浅岡 聡(広大院理)
休 憩
座長 山本光夫(東大教養)
11:30〜12:00 4.製鋼スラグ材の生物影響の生化学的評価
山下倫明(水研セ中央水研)
12:00〜12:30 5.製鋼スラグと半水石膏を組み合わせた浚渫土固化材の開発と海砂
利採取跡地の環境修復への応用
西嶋 渉(広大環安セ)・中井智司(広大工)
奥田哲士(広大環安セ)
昼 食
座長 清家 泰(島根大)
13:30〜14:00 6.石炭灰造粒物の物理化学的特性
浅岡 聡(広大院理)・山本民次(広大院生物圏科)
竹田一彦(広大院生物圏科)
14:00〜14:30 7.石炭灰造粒物の水産生物に対する安全性
山本民次(広島大院生物圏科)・日比野忠史(広大院工)
桑原智之(島大院生物資源科)・花岡研一(水大校)
斉藤 直(エネルギア・エコ・マテリア)
14:30〜15:00 8.石炭灰造粒物の活用技術と利用事例
日比野忠史(広大院工)・斉藤 直(エネルギア・エコ・マテリア)
吉岡一郎(中国電力)
休 憩
座長 清野聡子(九大院工)
15:15〜15:45 9.カキ殻の物理化学的特性
浅岡 聡(広大院理)・山本民次(広大院生物圏科)
早川慎二郎(広大院工)
15:45〜16:15 10.カキ殻の物理的特性を活用した底質改善
田中丈裕(岡山県水産課)・山本民次(広大院生物圏科)
休 憩
司会 山本民次・田中丈裕
16:30〜17:15 総合討論 パネルディスカッション
発表者全員
17:15〜17:20 閉会の挨拶
大嶋雄治(水産環境保全委員会副委員長)
●問い合わせ先:広島大学大学院生物圏科学研究科 山本民次
TEL (082)424-7945 FAX (082)424-7998
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