海岸の見方・面白さ
海岸は陸と海の出会う場所です。そして陸と海と大気の接する場所です。海岸は、砂浜海岸、岩石海岸、サンゴ礁海岸に分けられ、地質・地形条件や、波・風・沿岸流などの作用によって、砂浜、磯浜、砂丘、干潟など、様々な地形が形成されています。海岸線に沿って見ると、岬と岬にはさまっている小さな砂浜があったり、何十キロと続く砂浜があったり、それぞれの風景が私たちの目を楽しませてくれます。

海岸は多様な生物が相互に関係しながら生息・生育している貴重な空間でもあります。海岸は陸と海という2つの全く異なる生態系に境界にあって、陸から海へと環境が徐々に移行するため、多様な生物が見られ、それらが活発に活動しています。そこに棲む生物にとって棲み家であったり、産卵する場であったり、多くの生物たちの進化を支えてきた場であるのです。

日本は四面を海に囲まれ、長い海岸線を持つため、これまで台風、高潮、津波、波浪などの脅威にさらされてきました。そのため海岸にはそうした自然災害から後背地を守る防護のための施設も造られています。また、物流や漁業の拠点として、生活や生産の場として、その地域の特性を生かして利用されてきました。しかしながら、一部の海岸では、人々の暮らしを向上させることに重点を置いた整備のため、隣接する海岸で侵食を引き起こしている例や、地域の自然環境に影響を及ぼしている例も見られます。

近年では、環境保全意識の高まりや海岸利用の多様化に伴い、海岸整備に関する人々のニーズも変化してきました。平成11年には海岸法が一部改正され、これまでの「防護」という目的に加え、生物の生息・生育環境や自然景観の保全を図る「環境」と、海岸利用の増進を図る「利用」の2つの目的が追加されました。また、平成12年に定められた海岸基本方針においても、「美しく、安全で、いきいきとした海岸」を次世代へ継承していくことを基本的な理念として、「防護」、「環境」「利用」が調和するよう、総合的に海岸の保全を推進するとされています。

海岸は広大で自然に溢れた魅力的な空間である一方で、わずかな環境変化にも敏感に反応してその姿を変えてしまう繊細な空間です。私たち一人一人が、海岸はみんなのものであり、私たち共有の財産であるという意識をもって、より美しく楽しい海岸環境づくりに繋げていきましょう。 (文:清野委員)

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