vol.001 台風4号通過後の海岸の状況(沖縄県名護市東海岸)
2007年7月31日
話題提供:花輪伸一委員(WWFジャパン)

2007年7月13日,大型で非常に強い台風4号が沖縄本島を直撃しました.その3日後の16日に,名護市東海岸の瀬嵩(せだけ),安部(あぶ),嘉陽(かよう)を訪れる機会があったので,台風通過後の海岸の様子を紹介します.本来の目的は,辺野古・大浦湾の小島や岩礁に営巣する夏鳥エリグロアジサシ,ベニアジサシの繁殖状況調査でしたが,台風で卵が吹き飛ばされてしまったようで,抱卵中の個体は観察できませんでした.
 台風4号は,13日の時点で中心気圧930ヘクトパスカル,中心付近の最大風速50メートル,最大瞬間風速70メートル,中心の東側370キロメートル,西側190キロメートルが暴風域,潮は大潮で満潮時は6時および20時でした(沖縄タイムスによる).

 
図1.名護市瀬嵩の海岸(2007.7.16)   図2.名護市瀬嵩の海岸(2007.6.16)

図1は今回の台風4号の後で,図2はその1か月前の写真です.強い波で潮上帯の海浜植物群落(ハマヒルガオなど)が流失して砂地になり,草本や木本の切れはし,ゴミなどが打ち上げられていました.前方の海は大浦湾で最深部は約40m,沖合約4kmの湾口部にサンゴ礁があります.

 
図3.嘉陽の海岸   図4.嘉陽の海岸防風林内部.

図3の嘉陽の海岸は,沖合約500m(写真の右手)にサンゴ礁(リーフ)があり,浅い海の礁池(イノー),砂浜,防風林,県道,集落と続いています.図4ではリュウキュウマツが倒れていますが,このような防風林の幅が狭いところ,植物密度の低いところ,図3手前の川の部分から波が進入し,県道と集落に大量の砂を押し上げました.

 
図5.安部の川と集落   図6.安部の県道のバス停

図6は,安部の集落の中で,海岸から約100m,川は大きく曲がっているのですが,川を通って波が押し寄せ,堤防の上のコンクリート枠を傾かせ,大量の砂を残しました.あふれた海水は,図6の川のすぐ側の県道にも砂を堆積させました.写真は砂の除去が行われた後のものです.

 
図7.瀬嵩付近の路肩崩壊1   図8.瀬嵩付近の路肩崩壊2

県道331号線の海岸側の防風林と堤防が途切れたところで路肩が崩壊していました.防風林のリュウキュウマツなどは,枝折れや倒れたものも見られました.しかし,防風林の幅が広く,樹木や草本の密度が高いところ,特に,アダンが密生しているところでは,防風,防波の効果が高いようです.
 道路の堆砂や倒木は,役所が片付けてくれますが,集落内の道などは住民が,また,学校の校庭なども住民がボランティアで片付けるとのことで,これは結構きつい労働です.

 
図9.キャンプ・シュワブの鉄条網(2007.5.27)   図10.キャンプ・シュワブの鉄条網(2007.7.16)

米国海兵隊のキャンプ・シュワブの鉄条網も台風で飛ばされました.海に落ちていると危険なので船でまわりを探しましたが見つかりません.基地内にあればいいのですが.


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